天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

酒匂川

セグロセキレイ(酒匂川)

 松田山の河津桜を見た後、隣の開成町に行き酒匂川の堤防を歩いた。ここは、梅雨時期の紫陽花祭にくるたびについでに歩く道である。酒匂川と川音川が合流する地点は、明治以前、曼荼羅淵と呼ばれ、大雨のたびに洪水を招いた。昔からいくたびも洪水を起こした酒匂川の治水事業は、今も続いている。


      鶺鴒の尾のふるる川水ぬるむ


  たはたはと空に翔(た)ちたる鵜の鳥は川音川に魚とりけらし
  酒匂川川音川に合はされる曼荼羅淵にありし洪水
  洪水は曼荼羅淵に起こりしと今に伝へて祖師堂はある
  「水神」と石に刻みて祀りたりそのかみありし洪水の跡
  みごとなる黒松ならぶ堤防の水際にあそぶ鶺鴒の群
  川の面に映れる影に恋すらし上下に飛べるセグロセキレイ
  酒匂川瀬に置く石と思ひきやくろぐろ眠るカルガモの群
  軒先に巣をいとなみて増えにけむハクセキレイ
  セグロセキレイ