天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

イソヒヨドリ

江ノ島にて

 ヒヨドリの名がついているが、関係なくヒタキ科に属す。東アジア、ヨーロッパ南部、北アフリカに分布。岩礁や断崖の海岸に棲み、フナムシ、トカゲ、種子などを食べる。
 今回運よく江ノ島でその姿を撮ることができた。美しい鳴き声を聞くことができた。


      鳴き交はす川の両側春の鳶
      白梅のかをる方見る検校像
      立春の空を二機くる戦闘機
      立春の心細きは鳶の声


         
  ブルドーザの音恐れざる鳶、烏均せる土の虫をつひばむ
  不合格の子を伴ひて来し島に今も変はらず店は開きたり
  釣人とウキを見てゐる立春の海しづかなり不況ふかまる
  いづこよりいづくへ向ふ戦闘機二機ひと組の立春の空
  客まちて明かりちかちか点したり音も飛び出すゲーム機の群
  江ノ島銅像いしぶみ立てられし山田検校杉山検校
  潜水の二羽のウミウがしばしして水際の鷺のまなかひに浮く
  立春の朝の岩場に二羽とまるイソヒヨドリはかたみに啼けり
  江ノ島イソヒヨドリの啼く聞けば不況のこの世
  思ほゆるかも