天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雛罌粟の花

ネモフィラ

 ヒナゲシは別名虞美人草、クコリコとも。ヨーロッパ原産のケシ科の多年草。園芸品種では一年草として扱われている。余談だが、夏目漱石の小説に『虞美人草』があり、大学生の夏休みに胸ときめかせて読んだ記憶が懐かしい。


  ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟
  (クコリコ)われも雛罌粟       与謝野晶子
                       
  憂きとより愁ひといはむこころかな細き雛芥子の
  茎束ねつつ              蒔田さくら子
                       

 この時期、久里浜の「花の国」では、ポピーまつりが開催されている。例年に倣って今年も出かけた。


  あぢさゐの花のつぼみは意に染まず毛虫は急ぎ茎を
  くだりぬ


  その奥に黒き雌蕊をひそめたりポピーの花の赤き
  スカート


  雛罌粟は赤きスカートひろげたり見上げてゑらぐ青き
  ネモフィラ