天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

メタセコイア

川崎市生田緑地にて

 スギ科メタセコイア属の落葉高木。1941年に日本の第三紀層から化石植物が三木茂が発見、また1945年には中国の揚子江の支流の奥地で原生種を見つけた。生ける化石植物として有名になった。メタセコイアは三木の命名である。現在日本で見かけるものは、自生種の種子をアメリカで育て、1949年に日本に送られたものから、挿し木繁殖させたもの。


  鋏もてメタセコイアの枝を剪れば鳥のごとくにさえだ
  落ち来も                玉城 徹
                       
  お前はその時何をしていたのかと問う如くメタセコイヤ
  暗き影もつ               水野昌雄
                      
  メタセコイヤの一樹すがしくわが前に聳えたつゆゑ日々
  見上げをり               高橋則子
                       

川崎市の生田緑地にも林立している場所がある。水杉、曙杉 とも。


    古民家の集落ありてほととぎす
    梅雨晴間小鳥の声の澄みわたる
    水杉の若葉の林したたれる
    水杉や池のどぢやうの泥けむり
    咲き終へし後のあやめのつむりかな
    蛍棲む水音たかき緑地かな
    竹藪のかそけき明かり恋蛍


  古民家の藁屋根を見る裏山の道をたどれば杜鵑啼く
  山なせる生田緑地の湧く水にゲンジボタルは命継ぎたり
  やはらかき若葉のひかり纏ひたり生ける化石の
  メタセコイア


  水杉の若葉したたる池に棲む仏泥鰌は泥まき上でて