天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨晴間2

江ノ島にて

 江ノ島に遊ぶ。「古志」・長谷川櫂主宰の考え方によれば、同じ場所に何度でも通って、新しい視点を得る修行が大切という。



      いにしへの遊行寺坂や忘草
      邊津宮の茅の輪くぐりぬ島の朝
      朝顔のあをむらさきの目覚めかな


  ペットボトル、ラーメンカップさまざまのゴミが漂ふ
  漁港の岸辺


  左目の視力のにごり耐へ難し釣舟の名をたしかめてゐる
  釣りあげし雑魚の釣針はづさむとペンチとり出す突堤の朝
  江ノ島の宿の垣根にめざめたり朝日に透けるあさがほの花
  江ノ島の展望タワーにわが立てば岩食む波の逆巻くが見ゆ
  砲撃の的たりしとふ烏帽子岩その姥島に波の寄る見ゆ
  丈高きタイサンボクの葉の蔭にひとつ残れり白衣の花
  昆明と藤沢に吹く春風の「吉祥永駐」三羽の孔雀
  浜に咲く黄なるカンナの花にきて赤き蜻蛉は羽根やすめたり