天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

合歓の花

多摩動物園にて

 ねむ、ねぶ(合歓、合歓木)は、マメ科の落葉高木。樹高は8メートルくらいになる。実際にこの目で見たわけでないが、羽状の葉は夜になると閉じる。万葉集にも詠われている。


  昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ
  見めや戯奴(わけ)さへに見よ
                万葉集・紀女郎
                       
  相連れて旅かしつらむほととぎす合歓の散るまで
  声のせざるは             良寛
                           
  秋立つと未だいはなくに我宿の合歓木はしどろに
  老いにけるかも           伊藤左千夫
                         
  たもとほる夕川のへの合歓の花その葉は今は
  ねむれるらしも           古泉千樫
                         
  崖したに合歓の一枝のしだれをり夜すがらの風に
  門は扁(ひら)たき         前登志夫
                         
  合歓の花しだるる下に言葉絶えひぐらしは暗く
  声あはせたり            前登志夫