天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

師走の吾妻山

二宮町吾妻山にて

 神奈川県の「県のたより」に、二宮町吾妻山の菜の花畑が初春の風物詩として紹介されていた。それがまた気になって今の状況を見に登った。この山に登る前に、いつものことだが、梅沢海岸に立ち寄る。ここは走水(浦賀水道)で入水した弟橘媛の衣の袖が流れ着いたという伝説の場所である。とはいえ、高速道路が上を過ぎっているので、何の感興も湧かない。立入禁止のコンクリート突堤では、相変わらず数人の釣り人が釣糸を垂れていた。
 右の写真は、今回撮ったものだが、吾妻山の菜の花畑については、例年わがブログで紹介しているので、代り映えしない。


     閉ざしたる井戸の上なる紅葉かな
     魚跳ねて跳ねて師走の朝日かな
     去年今年店先に干すアジ、カマス
     菜の花やみな南に向きて咲く
     ひよどりの鋭き声よぎるおかめ笹


  建立は明治二拾三年の石の鳥居に銀杏ちるなり
  ところどころもみぢ残して落ち葉せし山の頂き菜の花が咲く
  坂の辺にあらはになれる太き根のイタヤカエデは黄葉に立つ
  冬木々の朝影に咲く水仙の白が囲める金色の蕊
  もみぢ終へ眠りにつける冬木々の朝影うつす水仙の花
  オカメザサ酉の市にてお多福の面を下げしが名前の由来
  水仙も菜の花も咲く吾妻山師走の海の風寒からず