神武寺の山桜

　神武寺は神奈川県逗子市にある天台宗の寺院で、山号は医王山。手近なところで山桜と云えば、直にここを思ってしまう。ソメイヨシノに交じって数本の山桜があるに過ぎないのだが、何故か印象に残っている。今年はまだ早いかなと思って出かけたら、とんでもない、もう散るところであった。ソメイヨシノはまだ蕾なのに。
　なお、三浦半島の中では、佐島側から大楠山に到る山道が、山桜の見どころだが、未だ満開の時期に行けないでいる。

　　　　　神武寺はしやがの花咲く薬師堂
　　　　　狂ほしく栗鼠鳴く朝の山桜
　　　　　つちふるや機関車の名は桃太郎

　　幹に彫りし落書きの字も年ふりてなんじやもんじやの木と太りたり
　　しきしまの大和ごころをたづぬればリス騒がしき神武寺の森
　　神武寺のさくら訪ねて来し朝は木末がくれにうぐひす鳴くも
　　狂ほしく鳴きて雌追ふ雄の栗鼠わき目もふらず木をかけくだる
　　うぐひすの梢がくれに鳴く道をゆけば散る散る山桜花