天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

やぐるま菊

久里浜・花の国にて

 矢車の花 ともいうキク科ヤグルマギク属。ユキノシタ科のヤグルマソウと混同されがちなので注意が必要。名前の由来は、小葉が端午の節句の鯉のぼりにそえる矢車に似ることによる。ヨーロッパ原産で、明治初期頃に日本に渡来したらしい。1922年に発掘されたツタンカーメンの墓に王妃アンケセナーメンが供えたものが発見されて、幼い夫婦の愛が話題になった。


  快き夏来にけりといふがごとまともに向ける矢車の花
                     長塚 節
  函館の青柳町こそかなしけれ
  友の恋歌
  矢ぐるまの花             石川啄木


  ゆふぐれの懈き気配にりんりんと青きいろ鋭し矢車の花
                     蒔田さくら子
  牧草に種子まじりゐし矢車の花咲きいでて六月となる
                     石川不二子