天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

臭木(くさぎ)

横浜市舞岡公園にて

 山野にはえクマツヅラ科の落葉低木。葉に臭気あり。この若葉を食用にする地方もあるとか。八、九月に白色の花を枝先につける。良い香がする。果実は球形で藍色に熟し、紅紫色の萼との対比に風情がある(右画像)。「くさぎ」を常山木と書くこともある。また別の呼び方に、臭牡丹樹、海州常山(かいしゅうじょうざん)、くさぎり など。


     逃ぐる子を臭木の花に挟みうち   波多野爽波
     花臭木瀧真向に真白なり       石田波郷
     黒揚羽臭木の花を嗅ぎたがる     冨田真治
     蜑が井にわれや他所者花常山木    山口草堂
     ぺかぺかと午後の日りん常山木咲く  飯田蛇笏