天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

青葉潮(続)

湘南海岸にて

 あおばじお。魅力ある日本語である。初夏の青葉のころ、日本列島に近づいてくる黒潮を指す。四月のころは卯波、五月のころは皐月波、盛夏には土用波 と日本語は季節ごとの潮に言葉を当てた。


    定置網しづむる沖の青葉潮
    やまがらの声うるはしき山青葉


  たたなはる山はかすみて玉くしげ箱根の空の白雲のむれ
  次々に釣人きたり糸垂るる今日も一日釣れずともよし
  砂浜に坐りて波の音を聞くわれをかなしめ沖の釣舟
  やまがらの声うるはしき水無月の青葉の山にまぎれ入りたり
  夕されば曇りになると予報せり雲たちわたる丹沢山
  吾妻山ひときは高き木が立ちてふもとより見ゆくろぐろと見ゆ
  今日も会ふ貨物を曳ける「桃太郎」草なびかせて鉄路を鳴らす