天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蓮の花

鎌倉鶴ケ丘八幡宮にて

 蓮はスイレン科の多年草。熱帯アジア原産だが、わが国には、今から2000年以上前の古代のハスの実から発芽・開花した古代ハス大賀ハスがある。蓮の花が象徴するものは、仏教では極楽浄土。従って和歌では釈教歌によく詠われる。「はちす」と詠むことが多い。


  極楽の蓮(はちす)の花の上にこそ露の我が身は置かまほしけり
                      山口重如女
  草の庵の露消えぬとや人は見る蓮(はちす)の花に宿りぬる身を
                      藤原資隆
  いろいろの色の鬼ども集りて蓮(はちす)の華にゆびさすところ
                      斎藤茂吉
  あくまでも蓮の紅愛づる国彼岸に寄せず愛憐に寄す
                      土屋文明
  冲(むな)しきが若(ごと)くしあれと念じけむ墨もて描く蓮
  (はちす)白花              片山貞美


  大賀ハス水のうえしげく咲きほこるその下いかに根っ子の修羅場
                      加藤隆枝


      金色のみごもりを待つ蓮の花
      蓮池の花をゆらせり鯉の腹