天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

桔梗

北鎌倉円覚寺にて

 キキョウ科の多年草で、日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。根はサポニンを多く含むところから生薬として利用される。秋の七草のひとつだが、梅雨の時期に早くも花をつける。古名は「きちかう」。万葉集アサガオは、桔梗のことという説あり。


  たのみせばをさなからまし言の葉に変りにけりな桔梗の花
                     元良親王
  もののふの草むす屍としふりて秋風さむしきちかうの原
                     加藤美樹
  しらはにの瓶にさやけき水吸ひて桔梗の花は引き締まり見ゆ
                     長塚 節
  哀しみの存在よりもほのかなるこの一夏の桔梗の花
                     山中智恵子
  大江山桔梗刈萱吾亦紅 君がわか死われを老いしむ
                     馬場あき子
  ゆつくりとむらさきを消す桔梗のあはれ天涯の色となりつつ
                     坂井修一