漢字では、桜桃、山桜桃、梅桃などを当てる。たんに「ゆすら」とも言う。中国原産、バラ科の落葉低木。江戸時代初期に渡来。小さな球形の実が六月頃に熟し、甘酸っぱい。
散るときの来てちらちらと梅桃(ゆすらうめ)
川崎展宏
ゆすらうめの渋く酢味(すみ)ある一粒を倦みてさびしき
折々に摘む 植松寿樹
一枝のゆすら梅の実を貰ひたり鈴生りの実のくれなゐ深く
竹中皆二
ほのかなるものなればふとゆすらうめ色づくごとく告げ
なば告げむ 馬場あき子
花あんず紅きかたへのゆすらうめ遅く咲きつつ早く散りにき
相良 宏
灯ともれる家にはわたしが待つことを必ず忘るな雨の桜桃
(ゆすらうめ) 河野裕子