天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山茶花

鎌倉御霊神社にて

 サザンカはツバキ科の常緑の小高木。常緑広葉樹林中に生育し、10月から12月にかけて白色の花を咲かせる。もとは「茶山花」と書いて「ササンクワ」と読ませていたものが「山茶花」になったという。園芸品種は120種余りある。一重咲きの御美衣、緋の袴、月の笠、明月、八重咲き・千重咲きの富士の峰、昭和栄など。木材は、楽器に、種子は油に活用される。


  村雨があられとなりて暫時(しばし)ふる庭はさざんくわ花
  ゆたかなり                中村憲吉


  山茶花は光ともしきに花さきぬ人のこほしき紅(あけ)に
  あらなく                佐藤佐太郎


  いのちたゆたふ旅のはたては石のぼる昼のまぼろし
  さざんくわの花             山中智恵子


  山茶花の白冴ゆる日よ雪国にうまれし性(さが)を今に保ちて
                      大西民子
  少女の声ちりばめてひらく山茶花のくれなゐをもて冬深みゆく
                      青井 史