天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藤沢市・諏訪神社にて

 さかきはツバキ科の常緑小高木。古来神木として、その枝葉は神に供えられる。万葉集には、「奥山の榊の枝に白香(しらか)つけ木綿(ゆう)とりつけて・・・」という長歌一首のみに詠われている。古今集「神あそびの歌」や拾遺集「神楽歌」に出て来る。


  神垣のみむろの山の榊葉はかみのみ前にしげりあひにけり
                   古今集・神あそびの歌
  さかき葉にゆふしでかけて誰が世にか神の御前にいはひそめけむ
                   拾遺集・神楽歌
  春すぎて卯月になれば榊ばのときはのみこそ色まさりけれ
                      紀 貫之
  さかき葉の霜うちはらひかれずのみ住めとぞ祈る神の御前に
                  新古今集大中臣能宣
  榊葉を手にとりもちていのりつる神の代よりも久しからなむ
                      赤染衛門
  よく見れば白玉ならべたるさまに花咲き満てり庭のさか木に
                      谷 鼎