天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

かたくりの花(1)

神奈川県相模市城山かたくりの里にて

 今年もその時期になったので、「かたくりの里」に出かけた。JR橋本駅のバス停から「三ケ木」行きに乗り、「城山総合事務所入口」で下車、通りがかりの人に道を尋ねながら歩いて30分ほどかかった。帰りは、JR橋本駅間の臨時の直通バスに乗る事ができた。入場料は500円。カタクリの花の他に、雪割草、東一華、猩々袴、節分草 などの早春の花が咲き残っていた。朝は快晴であった空が、帰りには雨雲に覆われ寒くなった。


     とりが啼く東いちげは白き花
     淡雪の色に咲きたりゆきわり草


  かたくりのベストアングル狙はむと地べたに這へる
  にはか写真家


  人みなが屈みて撮ればわれもまた真似して撮りぬ
  かたくりの花


  十字架の下に祈れるシスターの姿を想ふかたかごの花
  家持の歌を思ひて屈み見る墓地のなだりのかたくりの花
  雨雲の空ゆ風ふく里山にふるへて咲けるかたくりの花


  かたくりの花のふるへは真処女(まをとめ)の初夜の震へに
  似るとこそ言へ


  かたかごのむれ咲く中にひと株の雪割草は白き花咲く
  かたくりは花咲く前に御浸しにその葉を食ぶと翁語りぬ


  むらさきのはかなき色に咲きにけり名は厳(いかめ)しき
  玄海つつじ