天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

かたくりの花(2)

相模市城山かたくりの里にて

 カタクリユリ科多年草。古くは、堅香子(かたかご)、かたかし とも。北海道から本州中北部の山林に生える。朝鮮半島やアムールなどにも分布するという。鱗茎から片栗粉がとれる。


  もののふの八十をとめらが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花
                     万葉集大伴家持
  妹がくむ寺井の上の堅かしの花咲くほどに春ぞなりける
                     新撰和歌集・藤原家良
  悲しみのほむら燃ゆると思ふまで色たちてくるかたかごの花
                       岡野弘彦
  うつむきて語るほかなきふるさとのほのむらさきの片栗の花
                      馬場あき子


藤原家良の歌は、家持の有名歌の本歌取りであることは明らか。