天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉狩(7)

東慶寺にて

 観光の季節の北鎌倉の社寺には、人出が多いので、ちょっと出かける気がしない。紅葉はもう終わったかと思いつつ、師走の円覚寺東慶寺に出かけてみた。日当りのよい円覚寺境内のもみじは大方枯れていたが、黄梅院の庭の紅葉は見栄えがした。舎利殿の庭では、園児たちを前に若僧らが声を張り上げて餅を搗いていた。妙香池の縁には、よく見かける白鷺はおらず、翡翠が一羽、魚を狙っていた。
 東慶寺の墓地のもみじは見事であった。山の端の朝の木洩れ陽にかがよふ墓地の紅葉はまさに極楽浄土を想わせるほど華麗かつ清浄な気に満ちていた。


     舎利殿の庭に餅搗く師走かな
     翡翠が水面うかがふ妙香池
     洪鐘(おほがね)のしづもる山のもみぢかな

     
  僧たちが声はりあげて餅搗けば園児らが和す舎利殿の庭
  幹黒く枝広げたる常磐木の蔭にもみぢの命かがよふ
  東慶寺墓地にわが墓つくらばやもみぢに埋もれ眠り深きに
  目を開けて犬が師走の日だまりに丸まりてゐる何を思へる


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