天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春雑詠(3)

二宮町吾妻山にて

 新聞の神奈川県版で吾妻山の菜の花が見ごろと書かれていたので、今年初めて登った。富士と菜の花の組み合わせで写真を撮ろうと大勢の人が山頂に来ていた。私にとっても毎年の恒例になってしまったが、右の写真を撮ってきた。斜面の水仙の群も満開になっていた。水仙の写真は、背景が暗いと見栄えがする。いつものことだが、吾妻山に登る前に二宮海岸に座って海を眺めた。


     こゆるぎの波音やさし春の海
     天地(あめつち)の間(あひ)の釣舟風光る
     菜の花や長寿の里の吾妻山
     菜の花のかなたまぶしき富士の峰
     子等あそぶ春の日差の吾妻山
     風光るとぎれとぎれの松並木


  突堤に入る釣人に従ひて鳩の群くる顔見知りらし
  風光り水面光りて海坂の釣舟かすむ二宮の海
  鶺鴒は尾を振りにつつ小走りに車道を過ぎる二宮の浜
  年金に暮せる人ら登りきて写真撮るなり富士と菜の花
  東海に大地震くれば噴火せむ富士とほかすむ菜の花の空
  黄や青の帽子かむれる園児らがおむすび食ぶる菜の花の山
  水仙のむれ咲く山ゆ見下せば眼下に湧ける生活の音
  平なる水面と波立つ水面とはだらなしたり睦月の海は
  青空を劃せる黒き稜線は去年に登りし大山の峰
  風光る睦月の青き西空に朝をかがやく大山の峰
  藤沢の駅の広場に玉乗りが「私は四十」とつぶやきて乗る