ブドウ科の蔓性植物。巻きひげの吸盤で樹木や石垣に巻き付く。夏に黄緑の小花を付ける。秋に美しく紅葉するので盆栽にもされる。古名は「あまづら」。ただ、和歌に詠まれた例がみつからない。枕草子には出ているのだが。
秋風の嵯峨野をあゆむ一人なり野宮のあとの濃き蔦紅葉
佐佐木信綱
空濠の高石垣にはふ蔦の葉は落ちつくして蔓ばかり這ふ
川田 順
大杉の梢(うれ)にまつはる蔦かづら空の明りはここに
青みて 田谷 鋭
だれか巨木に彫りし全裸の青年を巻きしめて蔦の蔓は
伸びたり 春日井建
壁面をおほへる蔦にひつそりとあたま擡(もた)ぐる先端
みゆる 小池 光