天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花水木

藤沢市大場城址公園にて

 水木はミズキ科の落葉高木。アメリヤマボウシとも言い、北米原産である。山地に自生し、枝は扇状に広がる。白い花の場合、遠くから眺めると雪をかぶったようである。幹に樹液が多い。


     水木咲いて中宮門主の恋古りし   渡辺水巴
     庵ちさし深山みづきの花蔭に    伊藤柏翠


  青春はみづきの下をかよふ風あるいは遠い線路のかがやき
                      高野公彦
  小雀ゐて我と無縁の遊びするアメリカ水木咲く花の下
                      安永蕗子
  花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった
                      吉川宏志
  残酷な包みをあけた日があつた 花水木、風に白をかかげて
                     魚村晋太郎
  〈わたし〉が散って他の〈わたし〉が咲き残る辛いけど
  花水木の並木              渡辺松男