天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藤の季節(2)

大磯の裏山にて

 大磯の裏山を歩いて、毎年この時期に見かける藤の花をいつもの場所に見ることができた。


     谷渡る青葉若葉の息の中
     里近き山になだるる藤の花
     何鳥かルルリリと啼く若葉風
     こでまりの旧東海道化粧(けはひ)坂


  大磯の裏山に咲き風に揺るむらさき淡き山藤の花
  若葉なすケヤキクヌギにからまりてむらさき垂るる山藤の花
  大磯の朝な夕なに虎御前(とらごぜ)が化粧(けはひ)井戸辺の
  こでまりの花


  ウヰスキーの肴に合ふと今宵知るおぼろ豆腐と烏賊の天麩羅
  夢うつつ枕カバーの手拭を鉢巻にして叫ぶあかとき