天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

初夏雑詠(1)

鎌倉文学館

 五月はどこを歩いても新緑がまぶしく風が心地よい。まして藤の花、薔薇の花などの香の風に包まれると生きている幸せを感じる。MLBやプロ野球も佳境に入り、毎日結果が気になる。


     三人の僧が庭掃く躑躅かな
     紅椿一輪うかぶ手水鉢
     うぐひすの谷渡聞く切通
     藤棚に雨宿りする漫画本
     通り雨著莪の陰なる道祖神
     ミヤオミヤオと孔雀啼きけり菜種梅雨
     校庭を子等駈けまはる樟若葉
     青潮や砂利をさらへる波の音
     消費税増税反対おほでまり
     土砂崩あるやも知れず花うつぎ
     新緑をまとふ榎や吾妻山
     たんぽぽの絮とぶ風の吾妻山
     薔薇の香や文学館の青き屋根


  江ノ電に乗らむとならぶ人々に鬱の翳れる今日みどりの日
  護摩壇に不動明王立ちたれば人々めぐるパワースポット
  人々の去りし浜辺は潮風に幟はためく「海の朝市」
  突堤に釣りする人の足元に鳩ら寄り来て捨て餌つひばむ
  たたなはるテトラポッドにうち寄せて海鳴すごき二宮の浜
  新緑の風吸ひ込めばよみがへる鮮しき血にあかねさす頬
  おほかたの枝伐られたるポプラにも若葉噴き出づ枝の分かれ目
  正岡子規記念球場にフライ打つ少年野球の歓声高
  アンチ巨人アンチヤンキーズ標榜しそれらの試合見てゐる我は