天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鯉(3)

NHK

 江戸時代、中越地方の山古志郷では冬の蛋白源としてマゴイを養殖していた。その鯉に色の突然変異が現れた。それら色鯉の子孫を増やす試みから観賞用のニシキゴイが生まれた。かつては色鯉,変り鯉,花鯉などと呼ばれていたが,最近は錦鯉の呼び名が一般に普及している。海外でも新潟県の錦鯉が有名でバイヤーたちが訪れている。


  鯉なども生殖のときよ潜りゆきまた盛りあがりくる濁りのおもて
                      香川 進
  黒き鯉赤き鯉むれて寄るみれば身をそばだてて人に親しむ
                     佐藤佐太郎
  ゆきずりのこころ恐れきゆらゆらに皇宮の濠に白鯉を見き
                      葛原妙子
  新緑とはるかに告げ来緋鯉より真鯉はなやかなる夕つ方
                      塚本邦雄
  氷らんとする池の面(も)のゆふまけて沈透(しづ)く緋鯉の
  鰭もうごかず             上田三四二


  デパートの屋上に来て緋の鯉のゆらぐさま追へり夏は過ぎたる
                      河野愛子