天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

卯の花

二宮町吾妻山にて

 空木(うつぎ)の花。空木はユキノシタ科の落葉低木。幹が中空なので、空木の名前がある。箱根うつぎの花は、白、紅、紫と変化するので雪月花を一度に見ると言われるほど美しい。「卯の花ぐたし」は、五月雨の前に降る霧雨のこと。


     うのはなの絶間(たえま)たたかん闇の門(かど)  去来
     卯の花や茶俵作る宇治の里            召波
     うの花の中に崩れし庵かな            樗良


  春されば卯の花ぐたしわが越えし妹が垣間は荒れにけるかも
                 万葉集・作者未詳
  卯の花のかきねぬらして雨すぎし灯ともしごろを訪ふ人のこゑ
                     金子薫園
  天つ日の明るき谿にむれて咲くうつぎの花は幾叢も見ゆ
                     佐藤佐太郎
  行きゆきて行くところなき寂しさか卯花垣の夕のしろたへ
                     上田三四二


なお、卯の花については、2007年5月30日と2011年5月26日のブログでも取り上げているので、それらとは重複しない作品をあげた。