天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

緑蔭(2)

円覚寺・開基廟にて

 緑蔭は、青葉の茂った夏木立がつくる影。陽射しが強い天気では、木蔭は安全だが、いったん空に積乱雲が湧いて雷が鳴り始めると危険な場所になるので、雲行きには要注意。


     緑蔭に三人の老婆わらへりき     西東三鬼
     幹高く大緑蔭を支へたり      松本たかし
     緑蔭にひろげし地図をかこみけり   柏井古村
     緑蔭に憩ふは遠く行かんため    山口浪津女
     緑蔭の眼に量らるる旅の靴      飯田龍太
     緑蔭の言葉の円さ風来る        同上
     緑蔭をよろこびの影すぎしのみ     同上
     緑蔭に冬旅すすめられてゐる      同上


西東三鬼の「三人の老婆」と飯田龍太の「よろこびの影」の句は、緑蔭の代表作として有名。