天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夏蜜柑

横浜市東俣野の田園にて

 ナツダイダイで山口県が原産地。秋に黄だいだい色を帯びるが、収穫は4,5月なので、冬の間は樹の枝に鮮やかな果実をつける。生でも食べるが、マーマレードや砂糖漬けにしたりする。ただ近年はあまり食べられないようである。文字通り、夏の季語。


     眉に力あつめて剥けり夏蜜柑      八木林之助
     夏みかん酸つぱしいまさら純潔など   鈴木しづ子


  夏蜜柑ひとつ貰ひて持ちてある思ひはかなく汽車動くなり
                     島木赤彦
  紀の国のはざまの店に夏みかんむさぼり食(は)みてなほゆかんとす
                     木俣 修
  夏蜜柑の黄の実いまだもゆたけきに早きつぼみは開かんとす
                     佐藤佐太郎
  事件などそう簡単におこらないものねと強くむく夏みかん
                     俵 万智