天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

星のうた(4/12)

オリオン星雲

 最初の歌の体言止め「春の夜の星」は、いかにも新古今調。オリオン座は、天の赤道上、おうし座の東にある星座。中央に三つ星が並んでいるのが目印。ギリシャ神話に登場するオリオンに見立てた。


  高野山(たかのやま)杉生(すぎふ)の奥の常灯にならびて
  出でし春の夜の星          与謝野晶子


  うつくしく消えてかへらぬ星屑のとはの光を知りそめにけり
                     島木赤彦
  なげかへばものみな暗しひむがしに出づる星さへ赤からなくに
                     斎藤茂吉
  われはここに神はいづこにましますや星のまたたき寂しき夜なり
                     柳原白蓮
  星満つる今宵の空の深緑(ふかみどり)かさなる星に深さ知られず
                     窪田空穂
  峡(かひ)の空いまだ昏れねば焼(やけ)岳(だけ)に接してきよく
  光る星あり             佐藤佐太郎


  オリオンのかたむきふけし中空(なかぞら)に撓(しわ)るが
  ごとき風ふるふ音          鹿児島寿蔵


[注]右上の画像は、web「天体写真の世界」
     http://ryutao.main.jp/my_large.html
   から。