天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

河津桜

二宮町吾妻神社にて

 先日、たまたま二宮町の吾妻山に登り吾妻神社に寄ったところ、境内に見事な河津桜が咲いていた。今まで気に止めていなかったので、虚を突かれた感じ。その日は先ず知足寺の庭の梅の花を見に行った。境内には原石鼎コウ子夫妻の次の句碑が並んでいる。


     秋はあはれ冬は悲しき月の雁      石鼎
     海の紺あるとき白し夏雲雀      コウ子


吾妻山にあった小動物園は取り壊されている。どこに移されるのか、あるいは無くなるのか、webを調べても分らない。


     笹子鳴く曽我兄弟の墓の辺に
     山頂の菜の花畑残る雪
     朱の欄干河津桜は恋のいろ
     黒潮の海を見てゐる雪中花


  知足寺に曽我兄弟の墓ありて駒止石を庭に据ゑたり
  白梅の匂へる庭に小さく見ゆ曽我兄弟の駒止石は
  真裸のイヌシデ、コナラ、ヤマボウシ芽吹の時を寒空に待つ
  鈴鳴らす吾妻神社の境内の河津桜は初恋の色
  雪解けの山のなだりにことごとくなぎ倒されし水仙の花
  矢倉岳金時山もきさらぎの斑雪(はだれ)にけぶる菜の花の先
  山頂に坐りて描ける画用紙は菜の花畑と丹沢の峰


 河津桜は、大島桜と寒緋桜の自然交雑種であると推定されている。私のよく知っている河津桜で有名な場所は、静岡県賀茂郡河津町と神奈川県松田町がある。松田山ハーブガーデンについては、毎年のようにご紹介している。テレビによれば今が見ごろだが、今年はまだ出かけていない。