天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋の磯釣り

上:マルソーダ、 下:ヒラソーダ

 江ノ島裏の岩場では、ソーダカツオが入れ食いで釣れている。この魚の名前の由来・語源は、広辞林によれば、「鰹に似たれば〈鰹だそうだ〉といいしを、倒置したる魚名」ということらしい。漢字では「騒多鰹」、「宗太鰹」などを当てている。ヒラソーダとマルソーダの二種類がある。文字通り体型が平たいか丸々しているかによる。


     釣れたれば直に腹裂く秋鰹
     満ち潮や入れ食ひに釣る秋鰹
     奥津宮鋭く鳴き交はす笹子かな
     火打石打つや笹子の奥津宮
     秋冷の洞窟に聞く波のこゑ


    
  『重力とは何か』とふ本を読みをれば電車は着きぬ
  片瀬江ノ島


  立錐の余地なきほどに釣人が並ぶ岩場の秋の江ノ島
  ソーダガツオ、イナダも釣るる江ノ島の磯にしなへる
  竿と釣人


  江ノ島に潮満ちくれば入れ食ひにソーダガツオと
  イナダが釣れる


  洞窟は富士の麓へ続くといふ島の伝説波音を聞く
  黄葉の前にちり果つ辺津宮の大き銀杏は真裸にして
  さざ波の汀に佇てる都鳥その行末を思はざるべし