天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉狩―地獄沢―

大磯地獄沢にて

 紅葉狩りで毎年訪れる場所のひとつに大磯高麗山の地獄沢がある。市街地の銀杏も黄葉が始まったので、大磯に行くことにした。大磯から高来(たかく)神社へ、そして山裾に沿って歩いて地獄沢へ。近づくにつれて未だ時期が早いかな、と不安になった。紅葉ではなく黄葉が目立つ。「イノシシに注意」の板が置かれている沢の底から山側を見上げると未だ青葉が多い。湘南平に行くべく高度を上げて歩き始めると見栄えのする黄葉の木々に出会うことができた。湘南平から周辺の山々を見下すと紅葉は始まったばかりという印象であった。


     冬朝の庭に悴む化粧井戸
     山里や朝日に垂るる柿、みかん
     羽根が日に透きて飛びくるバッタかな


  何の実か頭上の高き木の枝に赤き小粒のむれて垂れたる
  大輪の菊そばに置く手水舎の高来神社は今日七五三
  黄葉といふには少しもの足らぬ心残して去る地獄沢
  せっかくの朝(あした)を来しが地獄沢いまだ間のある黄葉の時