天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉の大磯―城山公園

城山公園にて

 大磯の地獄沢の紅葉は、凄まじいという言葉が当てはまる程迫力がある。今年も尋ねるべくJR東海道線に載ったのだが、地獄沢のあたりの山は、車窓から眺めるかぎり紅葉には遠い(時期尚早)と思われた。それで大磯駅に降りてから急遽、城山公園に向かう事にした。南に面する山の紅葉は進んでいたからである。
 県立大磯城山公園は、旧三井別邸地区と旧吉田茂邸地区の二カ所からなる。旧三井別邸地区の方に行った。案の定、見ごろになっていた。郷土資料館の周辺では工事中の様子だったので避けた。
 城山公園からの帰りに、鴫立庵に寄った。珍しいことに座敷で俳句会が開催されていた。今回はさほどの俳句が出来なかったので、投句はせずに出て、島崎藤村旧居にも寄ってみた。以前には見かけなかった案内パンフレットがおいてあり、管理人の女性が手渡してくれた。今まで知らなかったこととして、藤村没後の一時期、昭和24年から27年まで作家の高田保が住んでいたという。作家の高田保はこの家で亡くなったが、その後は再び静子夫人が昭和48年に亡くなるまで住んだ、とのこと。藤村自身が住んだ期間は、2年半あまりと短かったのだ。


     城山の坂に見上ぐる紅葉かな
     名ばかりの鴫立つ沢の紅葉かな
     耳澄ます鴫立庵の沢もみぢ
     小春日の光たよりに句碑を読む
     西行の銀猫碑読む寒椿

     
  財閥の別荘なりし城山に紅葉しだるる東屋の跡
  城山の展望台に立ちて見る青空ふかき雪の霊峰
  大磯の静の草屋の住人に『ブラリひょうたん』の
  高田保