スキー(1)
古くから雪上を走行する用具としてスキーは工夫されていた。今日のスポーツに統合されるのは19世紀に入ってからであった。その先駈けになったのは、1840年頃のノルウェーのテレマーク地方で、ジャンプやターンの技術を競うことが始まった。
十人(とたり)ほどスキイをすなる童等(わらはら)に母の
愛をば送る太陽 与謝野晶子
ゆるやかに弧をゑがくときスキーヤー声なき声を雪にひき
延(は)ふ 大田水穂
ぱりぱりと波目(なみめ)の雪を横すべる最も怖(こは)き時に
アルプスをにらむ 加藤将之
夜明の、万年雪(フイルネ)降りしスキーあり黒き人影は淋し
くてならぬ 香川 進
スキー帽まぶかく軒の下の路既に雪国のひととなりゐし
大野誠夫
スキー列車すぎて朝の道にたつあふりの風に吹かれて歩む
上田三四二