天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪掻

わが身辺から

 戸口、店先、道路、線路などに積もった雪を取り除く作業である。雪が少ない時は、箒で用が足りるが、大雪ともなると家の周辺ならスコップ、道路なら除雪車、線路にはラッセル車といったものの出番になる。


  寂しさに起きて雪掃くかそけさは人も知らじな路地の白雪
                      北原白秋
  除雪終へし人らはあかあかと焚火をなす夜の明けそむる
  道の片側                木俣 修


  除雪車の円筒管より吐く雪の太太せるをトラックが受く
                      中山周三
  冬続くかぎりは掃かねばならぬ雪掃く老掃除夫の頬骨たかし
                     中城ふゆ子
  雪掻きせる両腕(て)夜半を泣きいだしひくひくひくりひどく
  ひもじい                田村宏志


  ふたり居の生活にも要る歩く道三十米けふも雪掻く
                     小山田信子


ついでに雪下しの歌もあげておく。

  屋根の上に雪おろし居れば屋根下に昼餉と呼べる母の
  こゑせる               結城哀草果


  屋根の雪いくたび下ろし屋根よりも高き路面を人は歩みぬ
                      大野誠