天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

探梅行―湯河原―

湯河原幕山梅林にて

 湯河原・幕山の麓に梅林が広がっている。幕山は海抜626mの手軽なハイキングに向いた山である。また麓からそそり立つ岩壁は、ロッククライミングの練習場になっている。数年前までは、梅林を見るだけでなく幕山の山頂へ登り大石ケ平、一の瀬と回って降りて来たものだが、近年は観梅だけにしている。混み合っていることも気が乗らない理由である。
 紅梅も白梅も咲いていたが、早咲き遅咲きがあるようで、一斉に満開となる情景に出会うのは難しい。多分、三月初めが見栄えの時期なのだろう。


     紅梅の雲突き抜けて岩のぼる
     ハーケンを打つ音幽か梅の花


  遠目には見えざる花も近づけば妍を競へる紅白の梅
  幕山の雪は消えたり梅林に登山姿の老人のむれ
  足もとのおぼつかなくも老夫婦相携へて梅林を行く
  交はるを厭ひて植ゑし梅林か紅梅のむれ白梅のむれ