阿修羅(2)
日本においては、特に明治以降は、奈良興福寺の阿修羅像が圧倒的に有名。三面ある顔の表情は、少年から大人への成長過程(反抗→内省→決意)を象徴するという。老若男女に最も人気のある仏像といってよい。
かなしみを眉根に耐へて合掌の阿修羅は佇(た)てり興福寺の雨に
酒井友二
鹿たちも若草の上にねむるゆゑおやすみ阿修羅おやすみ迦楼羅
永井陽子
雪の夜も三面六臂の阿修羅像ただいちまいの胸にて佇つや
扇 龍子
阿修羅像に蝋立てをれば己が髪逆立つほどの歌は詠みたし
富小路禎子
うつし世の乙女思はす阿修羅像生けるがごとき肢体を拝む
光山半弥
夢のごと思ほゆるかもはしきやし両性具有の若き阿修羅
(アーシユラ) 山中智恵子