天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

風薫る源氏山

鎌倉・源氏山にて

 浄智寺の裏山から入って風薫る葛原岡や源氏山を巡って壽福寺に降りてきた。咲き残る桜、満開の八重桜、楠や檪の若葉などが入り混じった山林の色彩と息吹は素晴らしい。


     山道の日差をさけて諸葛菜
     青眼の人と出会へり著莪の花
     さくら散る俊基卿の斬首跡
     新しき朱塗の小祠八重桜
     うつすらと富士山の見ゆ楠若葉
     木洩れ日の若葉風吹く化粧(けはひ)坂
     頼朝が背にして坐る八重桜
     尼寺は八重の桜や英勝寺
     壽福寺の山門奥の若葉かな
     初つばめ鎌倉駅の空に啼く


  鎌倉の谷戸の高みに腰おろしもみぢ若葉の風に吹かるる
  青空に枝を伸ばせる八重桜谷戸ふく風におもく揺れたり
  半世紀経れば開かむ頼朝の座像の下のタイムカプセル
  花ちりて若葉まぶしき源氏山コゲラはギイと啼きにけるかも
  注連縄に赤き紐巻きつなげたり男(をとこ)女(をみな)の
  縁結び石


  刀鍛冶・五郎入道正宗に縁(えにし)ありとふ合鎚稲荷