天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春潮(4)

江ノ島にて

 俳句に詠まれた例をあげる。松本たかしの句は、春潮の情況をよく表現している。阿波野青畝の句は、春潮ゆえのロマンであろう。松瀬青々の句は、気宇壮大で惹かれる。作者の立ち位置が気になる、船乗りが詠んだようにも思える といったことは穿鑿無用なのだ。


     暁や北斗を浸す春の潮       松瀬青々
     春潮に流るる藻あり矢の如く    杉田久女
     春潮の彼処に怒り此処に笑む   松本たかし 
     春潮に浮びて険し城が島     水原秋桜子
     春の潮岩門押しひらき激ち入る  水原秋桜子
     春潮や古事記の如く島を生み   阿波野青畝