冷たく涼しい気候と日蔭を好み、谷川の浅瀬に生育し、流水の山葵田で栽培される。四月頃総状花序をなす小さな白色花をつける。花、葉、茎、根すべてが食べられる。日本料理には欠かせない。
夜の膳の山葵の花をすこし噛み 能村登四郎
行く水に影もとどめぬ花わさび 渡辺恭子
安曇野のわさび花茎ほの辛く噛みて静脈あをく透けたり
斎藤 史
つくづくと腰を下して見まもれる山葵の花はこまかかりけり
山崎方代
武蔵野の霜どけみちをふみなづみたづねて来れば山葵田のあり
岡 麓
真清水の流れつめたき山葵田に山葵のぬれ葉みなゆれうごく
前田夕暮
投げつける礫くぐり来しステパノと共に足曳く山葵田の春
内田紀満