うねりが砕ける時、巻き込まれた空気が水のすき間から噴出するときに起るという。これなら洞窟などなくても海鳴りはする。
幾ひらの苔の入りたる氷柱あり海鳴りの音も聞こえず
なりて 山下陸奥
草鞋買ひてはきかへをれば海なりの音ははるかに地を
つたひくる 松田常憲
海鳴りのとほくきこえておそ桜散らんとすなり曇る砂丘に
木俣 修
眼つむればつねに海鳴りがきこえ来て清き勇気を清き勇気を
加藤克己
海鳴りのごとく愛すと書きしかばこころに描く怒濤は赤き
春日井建
いつしかは死ぬらん人を歩ましめきょう浜砂に春の海鳴る
上野久雄