天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

石の歌(2)

ガーネット

 個々の石に表情を見る。石を障害物と見る。石は頑固の象徴でもある。種々の美しい色を帯びた石は、宝石として珍重される。各国には、その国の宝石が決まっている。米国:サファイア、英国:ダイヤモンド、フランス:パール、ロシア:ロードナイト、中国:翡翠、・・・日本は水晶である。


  白雲は空に浮べり谷川の石みな石のおのづからなる
                  佐佐木信綱
  矢のごとく地獄におつる躓きの石をも知らず拾ひ
  見しかな            山川登美子


  台湾の螺渓(らけい)にころぶぬば玉の石得まくほり
  海原わたる            宗 不旱


  このままに石となるべきここちしぬ膝を抱きてものを
  思へば              吉井 勇


  うつらうつら庭をながめてあるほどに石われとなる吾
  石となる             吉井 勇


  花あかき椿のかげの石を見る石は水を溜めてすでに
  老いたり            前川佐美雄


  わが指に小さく光る青き石見つつも遠きわたつみを恋ふ
                   片山広子