天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

虹(5)

草原に立つ虹

 山口誓子は、生涯に虹の句を46句詠んでいる。他の俳人と比べて多いのではないか。特に句集『和服』には35句もあり、大半を占める。次に10句をあげる。


     虹がちに虹の柱のきほひ立つ     『遠星』
     話途中なれども客に虹を指す     『晩刻』
     怒張して虹の柱の立てるかな     『青女』
     いづくにも虹のかけらを拾ひ得ず   『和服』
     髭剃らずゐしが虹とて見に出づる   『和服』
     海上の音みな虹の環に籠る      『和服』
     虹の始め虹の終りは海になく     『和服』
     虹は脚を消しつつ天へ昇りゆく    『和服』
     虹の環に白雲を容れ通らしめ     『方位』
     サハリンに太くて薄き虹懸る     『大洋』


注: 右上の画像は、「無料壁紙:虹を撮影した綺麗な写真画像まとめ(青空・大草原・滝)」http://switch-box.net/wallpaper-rainbows-photo.html から借用した。