天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

虹(3)

海に立つ虹

 日本語の虹の方言には、鍋づる(佐渡島、愛知県など)、地獄のお釜のつる(富山県射水市)、太鼓橋(大分県)、立ちもん(長崎県南高来郡)などの例があるらしい。中国では、虹を蛇や竜の一種と見なす風習があったという。


  東塔に時雨の虹の裾曳けばほとほとしにき旅の情(こころ)は
                      吉野秀雄
  死にぎははかくあるべしと氷雲(ひぐも)照る冬空の虹に眼を
  細めたり               前川佐美雄


  虹一つかかりてゐるもわづらはし日に照らされし街の向うに
                      柴生田稔
  東京の焼野をまたぐ大虹の立ちたる脚のまさやかに見ゆ
                     窪田章一郎
  シャワーを浴む男のからだ窓よりも陽に断れぎれの虹まとふ見つ
                      田谷 鋭
  雄ごころやわれに流れて虹たつをむかし群盗のほろびたる石
                     馬場あき子
  西空に光る雲ゐて東の方全き虹が完成したり
                      吉野昌夫


注: 右上の画像は、「無料壁紙:虹を撮影した綺麗な写真画像まとめ(青空・大草原・滝)」http://switch-box.net/wallpaper-rainbows-photo.html から借用した。