天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

人形(3)

辻村寿三郎の作品から

 現代日本の人形作家では辻村寿三郎に惹かれる。NHKテレビで放送された人形劇『新八犬伝』は、実に生々しくて迫力があった(1973年から1975年まで全46話)。


  枕邊に人形を置く患者らの多くは子ろをふるさとに置く
                   川口常孝
  肌白き陶人形の眼に染みぬ一人の旅も終り近き夜半
                   野村久雄
  花嫁衣装せる人形を照らす灯の余映にてわがからだ明るむ
                   竹山 広
  人通り見ているだけの人形と思いしが今日はスカートをはく
                   高瀬一誌