天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

波の歌(5)

波の花

 冬型の気圧配置となり風が強まると、岩で砕けた波の白い泡の様子が、花が群がっているように見える。これを「波の花」という。能登半島の曽々木海岸や鴨ケ浦海岸、越前海岸などでよく見られる。


  草も木も色かはれどもわたつうみの波の花にぞ秋
  なかりける        古今集文屋康秀


  すみだ川舟よぶ声もうづもれて浮霧ふかし秋の夕浪
                   清水浜
  桜河汀の氷とけそめて春をよせくる浪の初花
                   加藤千蔭
  秋されば水底きよみささら波更にぞたてる風吹く
  ごとに              田安宗武


  大き海に月おし照れり船艫(ふなとも)を滝つ瀬なして
  流れ散る浪           佐佐木信綱


  海に入り浪のなかにてたはむれぬ鰭(はた)の広(ひろ)
  もの狭(さ)ものらのごと      吉井 勇


[注]画像は、「にいがた観光ナビ」
    http://www.niigata-kankou.or.jp/sys/data?page-id=9965
   から借用。