朱鷺(3)
トキは日本では古くから知られていた。奈良時代の文献には「ツキ」「ツク」などの名で現れており、『日本書紀』『万葉集』では漢字で「桃花鳥」と記されている。平安時代に入ると「鴾」や「鵇」の字が当てられるようになり、この頃は「タウ」「ツキ」と呼ばれていた。「トキ」という名前が出てくるのは江戸時代だが、「ツキ」「タウノトリ」などとも呼ばれていたようである。
江戸時代までトキは日本国内に広く分布したが、明治に入り、日本で肉食の習慣が広まり、また経済活動の活発化により軍民問わず羽毛の需要が急増したため、肉や羽根を取る目的で乱獲されるようになった。
雪原のはげしき照を翔ぶ朱鷺のその風切羽(かざきり)の
紅(あけ)ほのかなる 岡部文夫
列並(つらな)めて湖の水照(みてり)の上を飛ぶかの朱鷺の
群いつのまぼろし 岡部文夫
十三羽の朱鷺がさやかに飛ぶさまを大佐渡小佐渡背に
仰ぎたり 芝谷幸子
くれなゐに茜に鴾(とき)にすみれ色にああわが窓の長き
黄昏(くわうこん) 青木ゆかり
はぐれ朱鷺つばさ輝きとぶみれば孤り楽しむ宙のあるなり
久保田フミエ
[参考]画像は、web「旅館番頭の佐渡観光情報」
「トキの写真<ふるさとは穴水町>」
http://www.kouzushi.com/blog/2009/12/post-19.html から借用。