ミミズ
環形動物貧毛類の総称である。世界には約3400種。わが国では、シマミミズが代表的。通常、湿った地中に棲息する。土の通気性をよくする。雌雄同体で秋に産卵する。漢字では、蚯蚓と表記。俳句では夏の季語。
萩寺やみみずむかでへ灯のひとつ 宮坂静生
蚯蚓ほどに渇きて知らぬ街にあり 清水衣子
小蟻どもあかき蚯蚓のなきがらを日に二尺ほど曳きて日暮れぬ
石川啄木
おもしろき野中の月の夕かなみみづ笛ふき狸つづみうつ
千種有功
蚯蚓鳴く土の曇りや深(ふ)けぬらし一人ごころの歩みに耽る
島木赤彦
うは温(ぬる)む水泥(みどろ)がなかに縞赤き蚯蚓の仔らの
生(あ)れてうごめく 明石海人
乾涸(ひから)びし蚯蚓は百舌鳥(もず)の贄ならん椛(もみぢ)
の低き枝に刺したり 平野宣紀
草ひきて思はず触れし蚯蚓なり瞬間するどき動きみせたり
長沢美津
鋼(はがね)色の身をくねりゆく大みみずわが前(さき)の世の
思ほゆるなり 岡野弘彦
紐なして歩める蚯蚓いざさらば怨霊の声は土の中から
前 登志夫