駅(6/10)
仕事の出張などで、時間がなく食事を落ち着いて出来ない場合には、菓子パンとミルク、茹で卵などを駅構内やホームの隅で食べることがある。ホームに立ち食いの蕎麦屋、ラーメン屋がある駅もある。私の場合、西宮に住んでいた頃、出張の際に阪急十三駅や新大阪駅で、昆布うどんを食べることがたびたびあった。これがまたなんとも旨く病みつきになったくらいである。
壁にむきひとりパン食(は)む 駅ビルに秋をそよがぬ
タイルの桔梗 石井照子
朝ごとの駅にミルクを立ちのみつつわがアンビシアス
ほのぼのたのし 中城ふみ子
平常に出勤をして駅よりの足どりつかめずと聴けば
愉快なり 松坂 弘
かむりきの峠の駅はわが友が駅長にて萩の花植ゑし駅
斎藤 史
みちのくの駅に笑顔をつくり合ふ生きて逢ふ日の訣れ
なるべし 橋本俊明
暖色のランプ灯れる高千穂の駅に静かな夕闇は来る
田中拓也