天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

羚(かもしか)

ニホンカモシカ

 羚羊とも書く。偶蹄目ウシ科。本州、九州、四国の特産で特別天然記念物、禁漁指定。アフリカの草原や砂漠に群生するレイヨウを俗にカモシカと呼んでいるが別種である。体長は1.1メートルほど。角は短く雌雄とも枝がない。敵に追われると断崖に逃げて難を避ける。鞍鹿とも。


  黄葉の橅の林にかげ見えし羚羊ひとついづくにゆきし
                   梶井重雄
  羚羊の行きて間なきかあしあとの滝に濡れたる径にするどし
                   津川洋三
  夏山を下ると羚羊のうしろ足一歩が青き空を蹴りしか
                   片山静枝
  遠ふぶきみゆる果(はて)無(なし)山脈に暴れ羚羊棲むも
  うれしや            馬場あき子


  走らない羚羊と猟をせぬ男わかり合いつつ目を外らすなり
                  佐佐木幸綱


[注]右上の画像は、次の「動物図鑑/ニホンカモシカ」から借用、トリミングした。
http://www.pz-garden.stardust31.com/guutei-moku/usika/nihonkamosika.html